猫が薬を飲まない理由とは?猫に薬を飲ませる方法・投薬補助グッズ
猫が薬を飲まず嫌がる
猫と一緒に生活していると、ケガや病気の治療のために薬を飲ませなければならないことがあります。
しかし「愛猫が薬を飲まない」という悩みに直面する飼い主さんは、多いのではないでしょうか。
「早く体調不良を治してあげたい」という気持ちがある一方で、『口を開けない』『口に入ったとしても吐き出す』という状況に、心が折れそうになってしまうこともあるでしょう。
猫が薬を嫌がるのは、なぜなのでしょうか?
猫が薬を嫌がってしまう理由
猫が薬を飲んでくれない理由として、下記のようなことが挙げられます。
- 苦みや酸味が気になる
- 警戒心が強い
- 嫌な思い出がある
苦みや酸味が気になる
人でも「この薬はかなり苦いな」と思ってしまうことがありますが、猫も同じです。
特に、苦さや酸っぱさには敏感です。
いつものごはんに混ぜたとしても、「何かが違う…」と食べてくれないのもこのためです。
警戒心が強い
野生の頃の習性として、猫は「いつもと違う」という変化に気づきやすい生き物です。
薬独自の苦みや酸味というものは、自然界では『毒』や『傷んだ食べ物』と同じように感じてしまいます。
そのため、いつもと違う味を察知すると「これは食べない方が良いな」というセンサーが働き警戒するのです。
嫌な思い出がある
薬を飲ませようとすると、暴れる猫もいます。
「何が何でも飲まないぞ!」という強い意志の表れは、嫌な記憶を思い出すからかもしれません。
以前無理やり薬を飲まされたり、病院で知らない人に体を触られたり、注射をされたなどの記憶と紐づいている可能性があります。
トラウマにならないためにも、力づくで飲ませることは避けましょう。
猫が薬を吐いてしまう
なんとか薬を飲ませることができたとしても、飲んだあとに吐き出してしまうことがあります。
猫が薬を吐き出してしまう理由として下記のようなことが挙げられます。
- 苦み・酸味を感じたから
- ちゃんと飲み込めていないから
- 薬が内臓に負担をかけているから
苦み・酸味を感じたから
普段食べているキャットフードと違い、薬独特の苦みは猫が好んで食べるものではありません。
また、前述しましたが猫は苦みや酸味によって、毒物や腐った食べ物を判断できると言われています。
そのため、薬を口に入れた後に、本能的に有害なものを食べたと感じて吐き出してしまうのです。
ちゃんと飲み込めていないから
錠剤やカプセルの場合、飲み込みにくいことが原因で吐いてしまうことがあります。
口の中に入れることができたとしても、薬が喉の途中で止まってしまうことがあり、苦しくなって吐き出してしまうのです。
薬が内臓に負担をかけているから
上手に薬を飲ませることができても、薬の副作用によって吐いてしまうことがあります。
処方されることの多い抗生物質は、胃腸障害を起こしてしまうことも多いようです。
吐いたからといってもう一度飲ませるようなことはせず、必ず獣医さんに相談しましょう。
錠剤の飲ませ方
人の子供でも、飲み込むコツがつかめずに苦戦することが多い錠剤を、猫に飲ませる時にはどうしたらいいのでしょうか。
ここからは、薬の飲ませ方を具体的に解説していきます。
【錠剤】基本の飲ませ方
錠剤やカプセルは味が控えめのため、慣れれば粉薬よりも飲ませやすいと言われています。
しかし、物によってはサイズが大きいこともあるので、少し練習が必要です。
錠剤やカプセルは、時間をかけずにサッと飲ませることがコツです。
時間をかけすぎると、「何か怪しい!」と察知して暴れる猫も多いため、飼い主さんが『素早く飲まる方法』に慣れることが大切です。
- 抱っこして、頭を固定する。
- 上の方を向かせながら口を開ける。
- 舌の付け根あたりに薬を落とす。
- 口を閉じて、のどを優しくさする。(舌を出してペロペロしたら飲み込めている証拠)
- シリンジなどで水を飲ませる。
薬が舌先に落ちてしまうと、不快な味が徐々に溶けて、吐き出してしまうことがあるため、口の奥の方に錠剤を入れるようにしましょう。
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(写真のネコちゃん・・・reto.roさんのちゃいろちゃん)
どうしても飲まないには
どうしても飲んでくれない時、「飲ませたいのに!」というイライラも加わって、毎日の薬タイムがストレスフルな状況に陥ってしまうこともありますよね。
このようなとき、下記のような対処法があるので試してみると良いでしょう。
錠剤を砕く
薬が大きいとなかなか飲ませることが難しくなります。
また、飲み込みにくいことが原因で吐き出してしまうこともあるでしょう。
このような場合は、錠剤を粉状になるまで細かく砕き、ご飯やおやつに混ぜてあげるという方法が良いでしょう。
与え方は粉薬と同じなので、後で詳しく解説していきます。
洗濯ネットに入れる
猫が暴れてしまうときは、洗濯ネットに入れてあげることで落ち着いてくれることがあります。
「そんなことをしたら猫にストレスが溜まってしまうのでは?」と思うかもしれません。
しかし、狭いところが好きな猫は、洗濯ネットの中で安心することができるようです。
洗濯ネットに入れる時は、下記のようなことに注意してください。
- 大きめの洗濯ネットを用意する
- 長時間入れっぱなしにしない
- チャックを閉める際に、尻尾やひげなどを巻き込まないように注意する
洗濯ネットは薬を飲ませる時だけでなく、爪切りやシャンプーの際に暴れてしまったり、キャリーバッグを嫌がる時の対策としてもおすすめです。
タオルで巻く
大きめのタオルを体に巻いてあげることで、洗濯ネットと同じように安心してくれることがあります。
猫は衣類や布などを噛んだり舐めたりすることがあります。
この行動は『ウールサッキング』と呼ばれる問題行動で、異物を飲み込んでしまう可能性があります。
タオルを舐めているなどの行動が見られるときは、タオルの使用は避けた方が良いでしょう。
液体タイプの飲ませ方
猫にシロップなどの液体薬を飲ませる時には、どうしたらいいのでしょうか。
【液体薬】基本の飲ませ方
シロップを飲ませたい時には、シリンジという特別なスポイトが必要です。
慣れるまでは飼い主さんの方が大変かもしれませんが、慣れればピュッと猫の口に入れるだけなので、他の薬よりも投薬しやすいというメリットがあります。
持っていない時は、薬を処方してもらう際に病院で伝えると良いでしょう。
シリンジはペットショップや100均、ホームセンターなどでも購入することができます。
- 薬をシリンジに入れておく。
- 猫を抱っこし、頭を固定する。
- シリンジを犬歯よりも奥に当てる。
- 口が開いたタイミングで少しずつ入れていく。
- 口を閉じてのどを優しくさする。
- 必要な量を飲み込むまで繰り返す。
薬を口の中に一気に入れてしまうと、上手く飲み込めない恐れがあるため、様子を見ながら少しずつ入れましょう。
この方法はシロップ状の薬が処方された時だけでなく、粉薬を水に溶かして飲ませる時にも使えるため、何度か練習しておくと安心です。
どうしても飲まないときには
液体状の薬は味が独特なこともあり、「どうしても飲んでくれない…」という頑固な猫もいるかもしれません。
そのような時には、獣医さんに相談しましょう。
似たような効果の得られる薬に変えてもらうことで、スムーズに飲んでくれるようになるケースもあります。
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(写真のネコちゃん・・・yonedaarisuさんのタビーちゃん)
苦い粉薬の飲ませ方
薬というだけでも嫌がる猫が多いというのに、中にはとりわけ苦い薬もあります。
最近では開発が進み、猫の嫌がる味を抑えた薬も増えてきましたが、それでも粉薬は錠剤やカプセルよりも苦みを感じてしまいます。
ここでは、粉薬の適切な飲ませ方をご紹介します。
【粉薬】基本の飲ませ方
猫に粉薬を与える時は、下記のような方法があります。
猫の様子を見ながら、無理のない方法を試してみましょう。
水に溶かす方法
水に溶かす方法なら、前述した液体タイプと同じように、シリンジを使用することで飲ませてあげることができます。
飲ませる手順は液体タイプと同じですが、溶かす際の水の量がポイントとなります。
猫に飲ませるのものなので、なるべく苦みを感じないように薄めてあげたくなるものです。
しかし、薄めれば薄めるほど多くの量を飲まなければならなくなってしまいます。
薬の量にもよりますが、猫に負担をかけないためには最低限の水の量で溶かしてあげると良いでしょう。
キャットフードに混ぜる方法
薬を入れても吐き出してしまうという時には、キャットフードやおやつに混ぜるという方法を取りましょう。
- 少量のキャットフードをお湯で柔らかくする。
- 薬を混ぜてなじませる。
- 猫に与える。
キャットフードはウェットフードの方が香りが強く食べやすくなります。
また、空腹時を狙って少量のキャットフードに混ぜてあげましょう。
普段の食事のように自分で食べてもらうと残すことがあり、どれだけ薬を飲んだか確認できなくなってしまいます。
薬の量を確認するためにも、食べきるまで見ているか、口の中に運ぶのを手伝ってあげると良いでしょう。
キャットフード以外に混ぜる方法
キャットフードに混ぜても、ニオイに警戒してなかなか食べてくれないこともあります。
この場合、下記のような食材に混ぜてニオイを隠すことで、猫が食べてくれることもあります。
- ヨーグルト
- バター
- マヨネーズ
- 練乳 等
これらの食材は嗜好性が高いため、食いついてもらえる可能性が高まります。
上記の食材を与える時は、必ず少量だけ与えるように注意して下さい。
どうしても飲まない時には
上記2つの方法でも飲んでくれない時には、下記のお助けアイテムを活用しましょう。
- 服薬ゼリー
- オブラート
- 投薬補助フード など
ゼリーやオブラートは人の赤ちゃんにも使うことがあるため、知っている方も多いでしょう。
包んであげることで苦みを感じにくくなるため、「どうしても飲まない」という時には、このような便利グッズを活用しましょう。
猫の投薬補助用グッズ
猫に薬を飲ませるためのグッズは、いろいろと販売されています。
定番アイテムから、工夫を凝らした投薬補助トリーツ(おやつ)まで紹介していきます。
投薬の定番シリンジ
前述したように、注射器の形をした定番アイテムです。
シリンジは、シロップ状の薬はもちろん、粉薬を水で溶かして与えることもできるため、持っていると便利なアイテムです。
投薬用オブラート
粉薬を処方されることが多い時には、オブラートを準備すると苦みが隠れて飲みやすいかもしれません。
「錠剤はOK」という猫であれば、オブラートに包んであげたり、カプセルに入れてあげることで飲みやすくなるでしょう。
投薬用チュール
おやつの定番であるチュールですが、投薬専用のものも発売されています。
おやつとして売られているものよりも、粘り気が強く作られているため、粉薬をグルッと包み込んでくれます。
錠剤やカプセルなども包めるほど粘り気が強いタイプもあるため、処方された薬に合わせて、試してみてはいかがでしょうか。
投薬補助トリーツ
投薬を目的とした、おやつのバリエーションもどんどん増えています。
食欲旺盛でおやつが大好きという猫には、このトリーツタイプであればお薬タイムが楽しい時間になるかもしれません。
トリーツには下記の様に様々な種類があります。
- ゼリー状になっていて粉薬を混ぜてあげるタイプ
- ボール状のおやつで内側に錠剤やカプセルを隠せるタイプ
- ウェットフードに近いおやつで粉薬や砕いた錠剤を混ぜるタイプ など
投薬補助トリーツの特徴は『チーズ風味』『カツオ風味』『チキン風味』などと、猫が食べやすい味付けが施されているという点です。
「薬の苦さや酸味がどうしても苦手」という猫には、まずはトリーツから始めてみると良いかもしれません。